ベルギーのアントワープ郊外に広がる牧草地。ひょろりと背の高いヒエンソウがあちこちから顔をのぞかせる 庭園の一角で、59 歳のデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンはバラをじっと見つめている。彼のように、本 人と写真のイメージがこれほとぴったり一致する人間はそうめったにいない。そのせいか、彼の顔やシルエッ トはペンで一筆書きしても美しく描けそうな気がする。ヴァン・ノッテンは、スリムだが痩せすぎではなく、 すらりとしているが大柄ではなく、グレーヘアが交じっているが、グレー一色ではない。左右対称の顔はすっ きりと引き締まり、小さな眼は暗色を帯び、片側で分けたヘアはフロントだけ後ろに流してすっきりと整えて いる。ボタンをはずして着た白いシャツを見てもわかるとおり、その仲まいには厳格さというより、心に響く ような何かがある。彼がカトリック系スクールの真面目な生徒だった頃の面影も、そのとこかに残っているよ うだ。 ゥ Architectures 2025 白十尼l 利